就労移行支援事業所や、就労継続支援事業所等の障害福祉サービス事業所を開設できれば、もう心配することはない!

そうお思いではありませんか?

実は、障害福祉サービス事業所は、開設後、定期的に「実地指導」を受けることになります。

実地指導と聞くと、穏やかでない印象を受けますが、一体どのようなことが行われるのでしょうか。

以下にまとめましたので、確認していきましょう。

□実地指導とは

実地指導とは、障害福祉サービス事業者の「運営の適正化」や、「運営に対する指導」を図ることを目的として、都道府県・市区町村等の地方自治体が事業所に訪問して行う、運営状況のヒアリングや法定書類の確認等のことをいいます。

つまり、実地指導とは、制度管理の適正化とよりよい支援の実現を目的として実施されるものであり、全ての事業所において実施されるものです。

□実地指導を受けるにあたっての留意点

①実地指導は「監査」ではありません。

実地指導と聞くと、監査のようなイメージを持つ方も少なくないかと思います。

しかし、監査は不正請求や悪質な違反を実施している、又は実施している可能性がある事業所に対しその改善を求めて、場合によっては、指定に取消しを行うというものになります。

これに対し、実地指導は「よりよい支援の実現」を目的として、事業所への助言や指導を目的として実施されるものです。指定の取消しや悪質業者の摘発を目的としたものではないので、その点を留意しておきましょう。

②用意しなければならない書類は?

実地指導を受けるにあたり、新たに準備が必要となる書類はありません。

というのも、実地指導で要求される書類は、障害者総合支援法や条例、通達等によって定められている書類なのです。

つまり、「日頃から準備している書類」を用意すれば十分ということになります。

なお、具体的に必要とされる書類は、事前に書面で通知されるので、よく確認するようにしましょう。

□実地指導の流れ

実地指導はどのような流れで実施されるのでしょうか。指導は、自治体ごとに行われるため、細かな違いはありますが、以下に事例を記載しましたので、ご確認くださいませ。

①実地指導の実施の通知の送付

自治指導が行われる約1カ月前(自治体によってバラツキあり)書面によって実地指導を実施する旨の通知が来ます。

②事前提出資料の提出

実地指導前に契約書や、重要事項説明書、運営規則など、チェックに時間を要する書類については、事前に提出を要請されることがほとんどです。

実際には、実地指導前(おおむね1週間~2週間まで)に持参や郵送によって、書類を提出することになります。

要求される書類と致しましては、決算報告書や運営規則、施設等のパンフレットなどがあります。書面にて通知された必要書類をよく確認するようにしましょう。

③当日準備すべき書類の準備

書類は①に通知文書に記載されていることがほとんどです。それを参照しながら、実地指導当日までに準備していくことになります。

中には大規模な事業所や一部の事業所を対象とした必要書類が含まれていることもありますので、無理に全部揃えようとするのではなく、都度自治体に確認しながら準備を行っていくことが大切です。

④実地指導当日

当日は、管理者、サービス管理責任者や給付費の請求事務を行っている方が出席し、基本的に面談形式にて、ヒアリングと書類チェックが行われることになります。

⑤改善報告書の提出

実地指導の結果、後日「結果通知書」が送られることになります。

改善を要する項目があった場合には、記載してある内容を改善し「改善報告書」として提出することになります。

以上が実地指導の解説になります。

実地指導は、マイナス要素としてとらえがちですが、書類の確認等を通じて日頃の業務を見直し、改善する機会であり、また自治体の基準や考え方を知れるまたとないチャンスでもありますので、前向きにとらえて対応を行うことが大切です。